読書日記

ここ最近読んだ本の感想などを覚え書き。



しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)
しゃべれどもしゃべれども/佐藤 多佳子 (新潮文庫)

これはいい作品。話の展開は地味だけどぐいぐい読ませる。文章がうまいんだろうな。
口下手ゆえにうまくいかない人々に短気な落語家が落語教室を開くというお話。
もともと映画版のほうの予告編でちょっと気になっていたのだけど、
原作読んだらとても気持ちの良いお話だった。今度DVDも借りてみよう。
善人ばかりの物語が気持ちよく読めるというのも珍しい気がする。



ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫) ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)
ワイルド・ソウル/垣根 涼介 (幻冬舎文庫)

大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞日本推理作家協会賞の3賞を受賞ということで読んでみた。
なるほど、これは面白い。
冒頭1/4は社会派ハードボイルドな重苦しい描写が続くけど、終盤の展開と話のたたみ方は見事。
「前半の重い描写の割に復讐の内容が大人しい」とか「紅一点の貴子の描写に愛がない、
女が描けてない、感情移入できない」とか気になる点もあるけれど、ケイのキャラクターが魅力的。
これも映画化とかいずれされるんだろうなぁ。



サウスバウンド 上 (1) (角川文庫 お 56-1) サウスバウンド 下 (3) (角川文庫 お 56-2)
サウスバウンド /奥田 英朗

これは単純に面白かった。元過激派の両親を持つ子どもの物語。
上巻でまるでダメ人間だった父親が、下巻でめちゃめちゃカッコ良く見えるのが可笑しい。
「税金なら払わん!」って台詞にちょっと笑った。
まあこういう親も給食費滞納するんだと思うとちょっと笑えないけれど。
お姉ちゃんと警官のキャラも微笑ましくて好き。
こういうの読むと西表島とかで子育てできたらいいだろうなーとか思っちゃうけど、
まあぬるい憧れにとどめておいたほうがいいんだろうな。



探偵ガリレオ (文春文庫) 予知夢 (文春文庫)
探偵ガリレオ予知夢 /東野 圭吾

月9ドラマの原作。短編集なので深みはないけれど気楽に読める娯楽作。
オカルト現象の発生する殺人事件を物理的に解明する、といった内容。
動物のお医者さん」「もやしもん」とか理系大学モノが好きなのは
理系コンプレックスがあるからか……などと、この作品を読みながらふと思ったり。



容疑者Xの献身
容疑者Xの献身/東野 圭吾

上の「ガリレオ」「予知夢」の続編。直木賞受賞作。
まあ十分面白いんだけど、東野圭吾はこれで直木賞とったのか……というのが第一印象。
白夜行」とかで受賞しておいたほうが良かったんじゃないの? みたいな。
短編集のほうとは登場人物がかぶってるだけでコンセプトは違うような印象。
オカルト現象の謎解きは出てこないしね。さすがに短編よりは重めなテイスト。



ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)
ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)/東野 圭吾

レイクサイド 新装版
レイクサイド 新装版/東野 圭吾

どっちも映画化されてたような気がするな。まあ東野圭吾の作品の中では中ランクな印象。
つまんなくはないし一気に読めるけど、深みはない。フツーに娯楽作。
どちらも善人がいないので登場人物に感情移入しにくい、読後の後味もいまいち。
まあ文庫で買うならいいか、という感じかなぁ。



メタモルフォセス群島/筒井康隆 (新潮文庫 つ 4-12)

学生くらいの頃にも読んだ気がするんだけど、NODA MAPの「THE BEE」の原作
「毟りあい」を読みたくて再読。もうこの短編集、絶版なんだなー……。
どれもこれも読んだ後にいやーんな気分になる後味の悪さ。
勢いがあって狂ってて面白いけど、生理的な嫌悪感もあったり。
昔はこういう尖ったの好きだった気がするけど、年とったな……とかも思ってみたり。