宝塚花組特別公演「天の鼓」

宝塚の和モノは退屈なのが多いのであんまり興味がないのだが、作・演出が植×先生や×先生じゃなかったし、しかも春野寿美礼さんが主演とあらば話は別だ。と、青年館の2階から観劇。
鼓と一緒に拾われた捨て子がやがて鼓の名手として成長し、親友の婚約者と恋に落ちてひと夜の契りを交わし、伝説の鼓を我がモノにしようと狙う帝は親友をそそのかし彼を陥れようとする(←このへん、バチを交換して勝負に挑もうとするあたり、微妙にハムレット風味)……という昼メロ的展開で、それでも退屈はせずに見ていられる。なにせ春野さんの歌があるのは嬉しい。それでも死んだ主人公が蘭陵王の格好+金髪巻き毛+スターブーツ(白)で登場すると、さすがに笑う。「どこの国のキャラだよ!」と心の中でつっこまずにはいられなかったりする。
それにしてもやっぱり鼓といえば「髑髏城の七人」の二幕冒頭のあまりに美しい染五郎さんの姿を思い出してしまうんだよねぇ。あっちは生鼓だし。つい頭の中で「許せよ、無粋な血で月を汚した……」の名セリフを思い出して記憶の再生に夢中になってしまう。良くない良くない。