NODA・MAP「赤鬼」日本バージョン。

これで3カ国バージョン制覇だ。やっぱり、母国語で見る芝居が一番感情が伝わりやすいしわかりやすい。その代わり、役者のキャラと力量の差ががっちりわかってしまうのも難といえば難。正直、今回は4人のアンサンブルというより小西真奈美のための舞台に見えてしまった。最近はもうテレビタレントとして活躍しちゃってる彼女だけど、さすがつか出身、凄みのきいた声も決まってる。いま旬!な感じのオーラがでちゃってるし。ちょっとひとり目立っちゃった気がするなぁ。野田さんはいつもどおり卑怯な演技してるし。しかも、別に大倉くんが嫌いなわけでは決してないのだが、私の中ではミズカネのキャラにはあわないのだ。ミズカネの役は、やや二枚目系で、女遊びが派手そうで、でも胡散臭〜い感じの人にやってほしいんだよなぁ。やりたいやりたいってそればっかりいってたミズカネが、本当は「あの女」を愛してたんだ、っていうのが最後に解るのが、そういうキャラの人のほうが引き立つから。大倉くんも一生懸命やってるのは解るんだけど、ちょっと余裕のない感じもした。まぁ、まだ幕あいたばかりだから仕方ないかな。

3バージョン見た総評としては、個人的には タイ版>日本版>ロンドン版 という感じだった。
タイ版は共同体とそこにまぎれこんできた異物、というテーマが一番色濃く出ているし、演出はきれいだし、歌や踊りはやわらかいし。一番美しくて哀しい「赤鬼」だったと思う。しかし日本版までくるとさすがに立て続けに3本見たのがたたったのか、最後のあのセリフにもちょっと感度が鈍ってきたような気もしないでもない。最初に日本版見たときは「海の向こうには妹の絶望が沈んでいる」のセリフで、目の幅で泣いた記憶があるのだけどなぁ。あんまり見すぎるのも慣れちゃってよくないってことか。