NODA・MAP「赤鬼」タイバージョン

そうそう、これは97年の年末に3日しか上演されなかった、いわば「幻の舞台」。前売券
がとれなくて、当日並んで立ち見で見た覚えがある。日本版で号泣した覚えがあるのでタイ版はそれほどでもないかなと思ったけど、こちらは演出が変わっていてこれはこれで名作だった……と、いう記憶も薄れはじめた7年後の再演。そうか、もうあれから7年も経ってるのか……。

タイ語のやわらかい歌と踊り、白い舞台、そうそう。これこれ。こないだ見たロンドン版で戯曲の複線なんかも思い出してしまっているので、途中からもうハンカチ握り締めて半泣き状態。絶望を抱えながら生きる「あの女」の芯の通った立ち姿、それだけでなんかもう涙ですよ。チューヤンそっくりの「トンビ」のへらへらとした笑顔も哀しいし。やらせろやらせろって言ってたミズカネが言う「お前を愛してるからよ」のシーンなんかも号泣ですよ。そして赤鬼役の野田さんの衣装にびっくり(7年前もこんなのだっけ?)黒地に赤と白のペイズリーみたいな、なんかちょっと不気味な衣装。そして完全には白濁した右目。白いコンタクトでも入れてるのかな。見えてない目と知ってはいてもギョッとする。

カーテンコールもきっと3バージョン中一番熱かったのではないかな。いい舞台でした。