劇団四季「オペラ座の怪人」@電通四季劇場

1/31の日記で「舞台版のほうが好き」と言ったものの、前言撤回しますわ。これ、単純にキャスト次第……ですね。いや、やっぱり「マスカレード」の瞬間の充実感は舞台版のほうが上だなぁとは思ったんだけど。「ポイント・オブ・ノーリターン」は圧倒的に映画版のエロさに軍配。ううむ。やっぱりエロ重要。いやもとい、色気は重要なんですわ。

ラウル役は石丸幹二氏だったのでそりゃあもう映画版の生え際の気になる王子よりこっちのほうが100倍いいんだけど。でもラウルやるにはもう石丸さんもいい歳すぎる気がするんだよなぁ。やっぱりファントム=御大クラス、ラウル=若造クラス、の差があってほしい気がするんですわ。どっしりとベテランクラスのファントムに対し、血気盛んで危なっかしいくらいの若々しさがあってほしいもの。それでこそいろんなタイプの女子の期待にこたえられるというものではないのかしら。

何が不満って、いかにも日本人中年体型のファントムにまずがっくりですよ。いや、設定上はファントムって「目を背けるような醜さ」ですけどね。でもやっぱり虚構世界のお約束としてファントムには格好良くあってほしいわけですよ。映画版だってそういう要望にこたえてのあのキャスティングなんだろうし。いやまぁ声はいいんだけど……ああ、どうせならラウルよりカッコイイくらいのファントムでちょうどいいんだけど……。ていうか、あそこまで足が短く見えるのは衣装さんのせいもあると思うんだけど。なんであんな裾すぼまりなズボンにするの……? なんかもうちょっと足長く見せる衣装にできると思うのだけど。

そしてファントム以上に不満なのがまるで色気のないクリスティー。ああ、そりゃあ映画版とくらべたら単に「日本人」であるというだけで点数が下がるのはやむを得ないにしても、もうちょっと華があってもいいんじゃないのか。もうちょっと色気があってもいいんじゃないのか。この作品には子供ミュージカル向きの農家の娘のような純朴さなんていらんのですよ。ファントムが屈折した愛情を寄せるのに納得できるようなエロが欲しいのですよ。思わず終演後に「なんじゃあのクリスチーヌは!」と、お友達と毒吐いちゃった。ふう。まあ、この日はメインキャストじゃなく二番手三番手の人がでていたらしいのだけど、それにしたってもうちょっとなんとかならんものかなぁ! いや、映画版を見た後だけに点が辛くなっているのは確かだけれども。(そりゃエミー・ロッサムと比べちゃあなぁ。コレだもの。)

それにしても改めて四季の人材不足を目の当たりにする今日この頃。
いや、全体のレベルは決して低くはないんだけど、もうほんっと役者が全体的に無個性なのね。もうちょっと人間らしい演技してくれよと思っちゃう。東宝みたいに個性はあるけどレベルにバラつきがあるのもまぁそれはそれでどうかという気がするけれど、なんかこの状況に比べたらまだなんぼか……という気はする……。

まぁ、やっと3回目のオペラ座にして石丸ラウルに遭遇できた喜びと生オケの迫力で元はとった気になったけど、ファントム・クリスティーヌ・ポイントオブノーリターンの物足りなさに、思わず映画版で口直ししたくなってしまった。それはそれでまた「ラウルとマスカレードがものたりん!」と、舞台で口直ししたくなってしまうんだろうけれど。はー。満足行くプロダクションにするにはどうしたらいいかねぇ。ブロードウェイかウェストエンドに見に行けばいいのかなぁ。それはそれでキャストにあたりはずれありそうだしなぁ……。はー。