最近みたDVDの感想。

DISCAS使って24の合間にみていたDVDの感想を一気に。
気がつけばほぼ日本映画だった……。



空中庭園 ★★★(3/5)
空中庭園 通常版

希望のみえるラストのわりに、クライマックスまでの描写が重くてイヤンな感じなので、どーにも見た後にどよんとしてしまう映画。まあ豊田利晃監督作品だからそのつもりで見てはいたけれど。この人の映画はどれも見ていて「面白い」とかいう類のものではない。
終盤、主人公が雨の中で叫ぶシーンが印象的だという感想をよく見かけたけれど、つい「あーこの手法『青い春』でも見た覚えが」と思ってしまってちょっぴり残念。この人の作品は常に「内在する世界と外界との葛藤」がテーマになっているんだなぁ。永遠のモラトリアム映画というか、世の中と折り合いのつけられない人間を描くのがうまいというか。
監督の覚醒剤所持による逮捕さえなければ、この映画ももう少し評価されたはずなんじゃないかと思うけれど。割と好きな監督だけに早く映画界に戻ってきて欲しい。



フライ,ダディ,フライ ★★★(3/5)
フライ,ダディ,フライ

原作を先に読んでいたので、マンガ的展開はまぁ納得の上で(原作はもうちょっと感情移入しやすかった気がするが)。
岡田准一はスンシン役にハマるだろうなと思ったし、これは期待通りの内容。女子高生の娘がいる地味な中年サラリーマン役に堤真一はどうか……と思っていたけれど、まあ見てみたら意外に悪くなかった。前半はもっと情けない感じのほうがいいとは思うけれど。あまり二枚目俳優がやるべき役じゃないとは思っていたけれど、まあ終盤は鍛えていかないとしょうがないから、そういう意味では適任か。
残念なのはゾンビーズの面々のキャラがいずれも弱かったところか。まあ映画化でエピソードはだいぶ削らないとダメだろうからこれはしょうがないと思うけど。
バス乗車のサラリーマン組は温水洋一浅野和之徳井優田口浩正モロ師岡など小劇場役者の顔芸が炸裂。



笑の大学  ★★★(3/5)
笑の大学 スペシャル・エディション

舞台版を見てる身としては、なんか演出が全体にコメディに寄りすぎなのが気になる。映像だとここまでやらないと伝わりにくいのかなぁ? やっぱり西村雅彦×近藤芳正の演技が強烈に印象に残っているだけに、色々と比べてしまう。意外に稲垣吾郎は悪くないと思った。むしろ役所広司の演技トーンがややコメディ色が強すぎるのがちょっとどうかと。たぶん、本人のせいじゃなく演出のせいなんだろうけれど。もう少し嘘臭さ控えめだと良かった。
閉鎖空間のドラマだけにさぞ息苦しい映画になるんじゃないかと思いきや、浅草劇場街の光景や天井の高い取調室などの美術面のがんばりで、そのへんは飽きずに見ていられる。
ただ役所広司が劇場に足を運ぶあたりは映像で見せない方がよかったんじゃないだろうか。あそこは終盤会話の中でわかるから胸を突かれるのであって……。



ハチミツとクローバー ★(1/5)
ハチミツとクローバー スペシャル・エディション (初回限定生産)

全体的にいまいちで原作の魅力を伝え切れてるとは思えない。まぁ原作を読んでなければ映画としてはまぁそれなりに見やすい青春映画なんじゃなかろうか、という気もするけれど、あまりハデなドラマも無いから物足りなさもあるかもしれない。そもそもあの「ハデな展開がないからこそ」のもどかしさが魅力の作品なのだから、映画よりも連続ドラマでじっくりエピソードを描いていくほうが似合う物語なのだろう。
最初キャスティングをきいたときに「えー蒼井優がはぐなの?」と思ったモノの、これが意外に違和感なかったり。かえって伊勢谷友介の傲慢さや加瀬亮の変態じみたストーカー味のほうが気になった。ここまで誇張しなくても良かったんじゃ? 竹本はもともとそれほど個性の強い役じゃないので、まあ櫻井翔は妥当な配役か。
主題歌はスピッツが当然のようにハマっているはずなのだけど、なんで嵐の曲まで……。ジャニーズ役者がでるとジャニーズ主題歌にする悪しき慣例はどうにかしたほうがいいんじゃないのか。硬派な映画ではやってないんだから……。



花よりもなほ ★★★★(4/5)
花よりもなほ 通常版

仇討ちを遂げようとする侍が「仇討ちとはなんぞや」と悩んでしまう物語。「研辰の討たれ」を思い出すところもあるけれど、またこれはこれで別の方向から仇討ちを描いてる感じ。派手さはないけれど、全編を通して優しい視点とユーモアがしっとりと含まれている感じがいい。サブストーリーもうまいぐあいに本編に絡んでる。
それにしても岡田准一はああいう「なんともいえない笑顔」をするのが上手いなぁ。「タイガー&ドラゴン」も「木更津キャッツアイ」もそうだけど、複雑な感情の果てに出る笑顔、がとても上手い。
あと長屋の人々のキャラがどれもいい。古田新太めあてでコレを見たのは内緒だ。



陽気なギャングが地球を回す  ★(1/5)
陽気なギャングが地球を回す プレミアム・エディション

これも原作読んでるといまいち微妙な気分になる作品ではある。どうにもこうにも原作の「粋」な感じが出せてないんだよなぁ。CGとか美術とか、なんとかポップに仕上げようとしている心意気は買うのだけど、どーにも安っぽいというか泥くさいというか。ただでさえ伊阪幸太郎の原作もスノッブさと紙一重のギリギリ境界線上にあるのに、それをセンスなくやっちゃったもんだからもう、原作ファンには「痛い」としか映らないだろう。
日本人はタランティーノガイ・リッチーやソダーバーグにはなれないんだから無理すんな!」という印象ですよ。



スウィングガールズ ★★★★(4/5)
スウィングガールズ スタンダード・エディション

映画的には「ウォーター・ボーイズ」のほうが格段に爽快感もカタルシスもあって面白いかなー、と個人的には思う。「そんなにすぐに演奏はできないだろ〜」「高価な楽器がそんなに簡単にそろうかよ〜」「本来は吹奏楽部ともっと確執があるはずだ」とか、リアリティのないところもかなり多いけど、まあ映画的な嘘だと割り切れば。主要キャストの個性もいいし、何も考えず楽しめる映画。やっぱりこの手の「最初は何もできなかったダメな子たちが、頑張って力をあわせて何かをやり遂げる」というタイプの青春映画って見ていて楽しい。見た後に楽器やりたくなってくるなぁ。
「陽気なギャング〜」を見た後だからかもしれないけど、やっぱり日本のコメディってこれくらいベタなほうが安心して見てられる。
ただ映画の内容に対して、フジテレビはやっぱり盛り上げすぎなんじゃなかろうか。メディアの力のいやらしさがちょっとかいま見えてやや興ざめ。